2011年8月22日月曜日

ドイツへの日本からの輸入食品における放射線量の基準値

ドイツ放射能防護学会が日本人向けに「幼児は4Bq/kg・成人は8Bq/kg以上の野菜を食べないよう推奨している」というtwitterを見かけたのでこの情報を検証してみた。
日本における放射線リスク最小化のための提言
(該当ホームページ)


ドイツでは第3者の独立機関「FOODWATCH」という機関で食品の放射能汚染を政府とは別に測定している。



日本からの輸入食品の放射能基準値が記載されていたので、
以下、抜粋する。

(2011年3月以前)
食品に含まれるセシウム134及び137は、600 Bq/kgまで許容。
幼児用食品及びミルクは370 Bq/kg まで許容。

(上記基準は(EU-Regulation 733/2008)で規定されている。)

しかし、なぜかドイツ政府は2011年3月に上記基準値が改訂した。
(日本に配慮したためと当該HPでは推測している。)

食品に含まれるセシウム134及び137は、1250 Bq/kgまで許容。
幼児用食品は、400 Bq/kg 
ミルク製品は、1000 Bq/kg
魚の油・スパイスは 12500 Bq/kg まで許容。

となった。
FOODWATCHではこの新基準値は高すぎるため、3月以前に戻すべきと訴えている。

日本の第3者機関である市民放射能測定所では、いくつかのサンプルの放射能測定値について情報を公開している。

ここで使用している測定機器の検出限界は20 Bq/kg(カリウム40も含む)。
4 Bq/kgまで測定できない。
検出不可能な放射能をどのように防ぐのだろうか。
また、カリウム40などの自然放射能はたいていの食品にはカリウム40が1キログラム当たり数十~数百ベクレル含まれているようだ。

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-01-04-04

そう考えると市民放射能測定所での測定結果で、セシウムによる放射線量は表示された値より低くなるはずだ。

冒頭のドイツ放射線防護協会の記載によると、
セシウム137: セシウム134: ストロンチウム90: プルトニウム239 の割合は、100:100:50:0.5
とあるので、
仮にセシウム137とセシウム134が10Bq/kg、10Bq/kg汚染されていたとしよう。
(ストロンチウムは重いので長距離飛ばないと仮定)

ヒトが1日に食べる食物の量は、30代で約1000g。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou06/pdf/01-01a.pdf (65ページ参照)

ここのWebsiteを利用して計算する。
ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)、計算・換算ツール
セシウム137 10Bq/kgに汚染された食品1000gを365日摂取した場合、0.04745 mSv/year
セシウム134 10Bq/kgに汚染された食品1000gを365日摂取した場合、0.06935 mSv/year
合算させると0.11680 mSv/year

東京(新宿区)の平均空間放射線量が震災前0.035μSv/hで現在は約0.100μSv/hで、
空間線量の増加分は0.065μSv×365日=23.725μSv=0.023725mSv/year

新宿区に住みながらセシウム20Bqに汚染された食物を1年食べたとして、
年間被曝増加量は0.1405mSv/year

ここで世界各国の放射線量を比較。
http://www.taishitsu.or.jp/genshiryoku/gen-1/1-ko-shizen-2.html

日本の平均放射線量 0.43mSv/year
中国の平均放射線量 0.54mSv/year
香港の平均放射線量 0.67mSv/year
フランスの平均放射線量  0.60mSv/year
ノルウェーの平均放射線量  0.63mSv/year
憧れのフランスやノルウェーに移住するほうが被曝する。


確かに放射能が検出されてしまったことは残念だが、東京都新宿区に住む分には、ヒステリーになるほどではないと思った。
もちろん、継続的な放射能監視は必要で、なるべく汚染が少ないものを食べるよう気を使う必要はある。
母親がヒステリーを起こし、子供に与える精神的ストレスにより、子供の健康を損ねている可能性の方が高い。


東京に住む母親からセシウムが検出されたのは、
作物が原因ではなく、3月15日に放出され飛来してきた放射能
もしくは直後に出荷された食物により検出されてしまったものと思われる。
(セシウムは尿に排出されるまで100~200日要するとのこと)

以下、wikipediaより引用
体内に入ると血液の流れに乗って腸や肝臓にベータ線とガンマ線を放射し、カリウムと 置き換わって筋肉に蓄積したのち、腎臓を経て体外に排出される。セシウム137は、体内に取り込まれてから体外に排出されるまでの100日から200日に わたってベータ線とガンマ線を放射し、体内被曝の原因となるため非常に危険である。セシウム137に汚染された空気や飲食物を摂取することで、体内に取り 込まれる。


食品が人体にどのような影響を及ぼすのかは、
チェルノブイリで起こっている疫学的な検証を精査していくしかないと思われる。
今後はそれについても検証する(予定。)

なお、
日本における放射線リスク最小化のための提言
が参照しているhttp://www.strahlentelex.de/だが、

小児白血病や乳がんが電磁波により増加する。
http://www.strahlentelex.de/ESR-Niederfrequenz.htm
という論文の記載も見られる。
少々、保守的な団体が運営しているサイトのようだ。






★ちなみに、気になる汚染牛肉と汚染米問題だが、
この基準値はセシウムで 500 Bq/kg
※政府発表の食品基準値はセシウムでの放射線量で示されることが多い。
しかし、年間被曝線量には自然放射能も含まれていることを忘れないように。


セシウム400Bq/kgで汚染された牛肉1日200gを200日間食べたとすると・・・
セシウム137と134半々で汚染されていたと仮定して、以下で計算。
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON
セシウム137 0.208 mSv (400Bq, 200g/day, 200 days)
セシウム134 0.304 mSv (400Bq, 200g/day, 200 days)
(0.208 + 0.304)/2 = 0.256mSv


同じくセシウム400Bq/kgで汚染された米を毎日2合(300g)食べたとすると・・・
セシウム137と134半々で汚染されていたと仮定して、以下で計算。
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON
(0.5694+0.8322)/2 = 0.7008 mSv   


上記を合算させると0.9568 mSv/year
約 1mSv被曝することとなる。
福島原発事故前は年間1mSv(自然放射能含む)と決まっていた。
それから比較するとセシウムだけで1mSvを軽く超えるような基準値は高すぎると懸念している。


参考:http://takedanet.com/2011/07/post_0f5e.html

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